リトライ。




「入った……」


なんとなく、手から放たれるボールが軽いように感じた。


「うん。いい感じ。試合の時もそうだ。

どんなに周りが盛り上がっていようと、それだけを考えてゴールを放て」


それだけ、か……。


バスケに余計な考えはいらない。


入らないかも、失敗するかも、なんて考えていたら入るシュートも入らなくなってしまう。


「真っ白な気持ちでやればいい、そうすれば必ず技能がついてくる。

俺たちはたくさん練習してるんだから。なっ?」


私は肩の力が抜けたようにふっ、と笑った。


「陽介らしい……」

「褒めてんのか?」

「うん、そういうところす……、」


好きだな、と言おうとして思わず止めた。

それは泉ちゃんと話した会話を思い出してしまったからだ。


「す?」


もう、なんでこんな時に思い出してしまうんだ……。

かあ、と赤くなる顔。


「す、素直なところがいいなって思っただけ!」

ぱっ、と目を逸らしながら言うと。


「素直ってなんだよ」


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