リトライ。




久しぶりだった。


試合をしているコート。


また嫌な感覚を思い出してしまうんじゃないかって、怖くもなったけれど、身体ははやく動きたいとばかりに震えていた。


現在試合は第1ピリオド終了時に21-28の7点のビハインド。


勝つためには攻めていかなくてはいけない。


審判がホイッスルを吹き、試合が再開する。


ボールは私たちのチームからだった。


エンドラインから私はまはるちゃんからパスを受ける。


それから私たちは交互にパスをしながらハーフラインを越えていくと、そこから攻めの姿勢に入った。

まはるちゃんからパスを受けた瞬間、低い姿勢のドライブで中に切り込んでいく。


目の前のディフェンスをひとり抜き、フォローに来たもうひとりをフェィクで交わすと私はそのままレイアップに向かった。


ふわ、と手から離れて行くボールはゴール板の角に辺り、ぽすっと入っていった。



< 117 / 266 >

この作品をシェア

pagetop