リトライ。


その瞬間、歓声が沸き上がった。



残ってる。
あの時の記憶。

めいいっぱい練習した感覚は簡単に忘れたりはしない。


まはるちゃんが私の肩を叩き、「ナイシュー!」と声をかけた。


それからはほとんど私の頭は真っ白だった。

何の雑念もない頭の状態の中、ただ全力で目の前のことを楽しんだ。


ピ、ピ―――!



「39-41」

「ありがとうございました」


気づけばこの試合、私たちのチームの勝利で終わっていた。

勝った……っ。


まはるちゃんが駆け寄って来て私に言う。


「沙奈ちゃんすごいよ、沙奈ちゃんのおかげだね」

「そんなことないよ」

「沙奈ちゃんが後半の最初、流れを変えたから勝ったんだよ~すごい楽しかったね」


前半と後半。

フルで出ていたまはるちゃんにそう言ってもらえるととても嬉しかった。








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