リトライ。
あれ……今話しかけちゃマズかった?
そう思っていたら、彼は顔をぱっと明るくさせて言った。
「沙奈!お前いたのか」
「うん、実は上で見てたんだよ」
いつもの陽介だ。
「おう、さっき悪りぃな。
闘志メラメラだったから試合終わってもなかなか切り替えらんなくてさ」
それで、あんな目をしていたんだ……。
ぎら、りと睨む陽介はいつもとは全然違くてドキっとしてしまう。
「何かあったの?」
私がそう聞くと陽介はいいにくそうに視線を逸らした。
「ちっとな」
なんだろう?
不思議に思っていると。
「よお、陽介。さっきはどうも」
後ろから誰かに声をかけられる。
陽介に話しかけるその人に視線を移すと、さっきコートで戦っていた相手校の人がそこにいた。