リトライ。
「あーあ、新入生歓迎会の出し物どうしよう」
泉ちゃんは今、調理部で学年リーダーを任されていて色々大変らしい。
学年が上がるにつれてどんどん任される仕事が増えてきた。
役割も重く、その分活躍の場も広がる。
1年前と同じ気持ちではいられないよね。
そんなことを考えていた時。
「おーい、沙奈」
陽介が教室のドアから私の名前を呼んだ。
「でた、王子登場~」
「王子って……」
泉ちゃんの言葉に苦笑いしながら陽介のところに向かうと、彼は言った。
「なぁ、今日さバッシュ見に行きてぇんだけど付き合ってくんね?」
「うん、いいよ」
陽介と私の仲は急激にではないけれど、深まって来た。
今では休日にふたりでどこかに行くほど。
って言ってもいっつもバスケ関連なんだけど。