リトライ。
「私はね、9番だった」
9番を意味する番号。
スタートから試合に出れるわけではないってこと。
少しうつむきがちに話すと、陽介は静かに聞いてくる。
「不安?」
「少しね……」
思い出す記憶がいつも苦いものだから、少しのことで不安は大きくなってしまう。
「この前、先輩たちの引退試合に少し出たんだけど、相手チームの気迫に押されちゃったし」
相手チームの絶対に負けないという気迫に押し負けていた。
自分たちの代になった時、
フルタイムで戦ってあれだけの気迫を自分だったら残せるだろうか。
戦っていて、負けていても諦めずに立ち向かえるだろうか。
そう考えた時に私はまだまだだ。
すると陽介は言った。
「まっ、それなら試合慣れすれば大丈夫だろ」
「試合慣れ?」
「おう、たくさん試合に出ればそんなもん、どっか行っちまうって」
「そう、かな……」