リトライ。
しかし、それもすぐにカバーされてしまい気づけば私は角に追い詰められていた。
「あと1歩後ろに下がったら、俺のボールになるぞ。どうする沙奈」
「え、ちょ……」
じりじりと追い詰められて、身動きさえ取れなくなってしまう。
「ま、待って」
「試合に待ってはねぇの」
思わずのけぞった身体は1歩後ろへと動いてしまった。
「ピピー!マイボール」
陽介が勝ち誇った顔をする。
完全に私の負けだ。
手も足も出来なかった。
すると陽介は言った。
「沙奈、この間の試合のスコアー表見せて」
スコアー表?
なんでそんなもの?
スコアー表は誰がどんなシュートを決めたとか、ミスの回数、ファールの回数を記録したものだ。
私はマネージャーがよく使うバッグを取り出してスコアー表を陽介に見せた。