リトライ。
応援するために来てるんじゃないのに。
何度も拳を強く握った。
泣き出しそうになっても、大きな声で頑張れって応援することで紛らわせた。
自分が出れたら、と想像する。
でもいざ試合に出るとミスして下げられてしまうんじゃないかって怖くなる。
そんな気持ちなんて分かるわけがない。
「陽介はスタメンだもんね……
ずっと試合出てる人に私の気持ちなんか分かるわけないよ……」
弱気になっていちゃいけないって分かっていても、
ギリギリで勝負している私にとって
自分という壁を超えるのが一番難しい。
追いつこうと頑張ったっていつまで経ってもおいつけない。
彼はどんどんうまくなっていき、離れていくばっかりだ。
「やっぱり私には無理なのかも」
そうやってぽつりとつぶやくと、陽介は言う。