リトライ。



「……っ」


一筋の涙が頬を濡らす。


一緒に上を目指して頑張ろうと言ってくれた人に

弱い自分を押し付けて、しまった。



「分かってるんだよ……」


分かっているけど、怖いんだ。


みんな私の元から去っていってしまった。


自分が証明してみせるって意気込んだ試合も

自分が現実を見るだけで終わってしまった。


頑張っても、前を向いてても

報われることだけじゃないのを知っている。


だからこそ、落ちる瞬間が怖くて仕方ない。


「よう、すけ……」



再びやって来た静けさは私の寂しさを煽るものであったーー。








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