リトライ。
楽しそうに笑う陽介の顔。
素直にカッコイイと言える彼女。
嫌だ。
もしふたりが付き合ったら
もう私と練習に付き合ってくれることもなくなるんだろうな。
練習帰りの放課後。
一緒に寄り道することもないだろう。
彼が他の女の子の隣で笑うところを見ることになってしまうんだ。
そんなの、嫌だ。
そう考えたら、この場にいられなくなって私は顔を隠すようにうつむいて走り出した。
全力で走って人のいない公園までたどり着く。
私はすぐそこにあったベンチに腰を掛けた。
ぐっと我慢していた涙が頬を濡らす。
「弱い、か……っ」
その通りだ。
いつまでも私は弱い。
逃げて、逃げて、後悔して。
過去のことを嘆いて、引きずって。