リトライ。



時間は止まってくれないことを知っていて、勝負することを避けている。


出来る人のことを羨んでいるだけで強くなれるわけがない。


全てにおいてそうだった。


バスケや自分の気持ちを伝えること。


きっと全てに中途半端だったからそうなったんだ。

ぐっ、と涙を拭った時。



「もう1回やろうぜ」


子どものその言葉が公園に響いた。



もう一度。


諦めようとした私に、彼がその言葉をくれた。


ずっと目を背けていたことに向き合うチャンスをくれた。



「もう逃げたくないよ……」



このまままた、同じことを繰り返すのは嫌だ。


もう人からもらったチャンスを無駄にしたくない。


まっすぐに向き合えるように伝えなきゃいけない。


私は零れる涙を拭って立ち上がった。


戻らなくちゃ。


後悔する前に。



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