リトライ。
来た道を戻っていく。
何も考えずに走って、ふたりを追いかける。
今伝えなくちゃダメだと思った。
どれくらい走っただろう。
ようやくふたりの姿が見えて来て、
私は何も考えないまま陽介のカバンを引っ張った。
「おわっと、」
「よう、すけ……!」
ふたりがゆっくりこっちを向く。
髪型が崩れるとか、息を切らしてるとかもう考えている余裕は無かった。
「話したい……っ、です」
ぎゅうと拳を握る。
サッカー部のマネージャーの女の子がビックリしてこっちを見つめている。
反応を見るのが怖くてうつむくと、彼は言った。
「悪い」
……そうだよね。
やっぱり、もう私とは話したくないか。
強く握った拳がゆっくりと離れていく中。