リトライ。


次に案内されたのは体育館だった。


「ここがうちの体育館だ」


体育館……。


入学式の日に入ったけれど、人がいないと本当に大きく感じた。


外から覗くと大きく広がる懐かしい空間が蘇る。


何度も見つめたゴール。
よく走ったコート。

練習……試合、合宿。


吸い込まれてしまいそうになるくらいには本気だった。

私が中学の頃、最後に見た体育館もこんな風に誰もいなかったな……。


その時は、もう見ることもさえ嫌になってしまったけど。


何も告げず、その場を立ち去った体育館は何色に染まっていただろう。


「うちはスポーツに力を入れているからな。

普通の学校よりは広く作られているから、運動部に入るやつはのびのび練習出来るぞ」

「へぇ〜、だって沙奈」

「私には別に関係ないもん」


泉ちゃんの言葉に私はふんっ、と顔をそむけた。

「ふふっ、午後の部活紹介も楽しみだね!」


って、聞いてないし……。

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