リトライ。



珍しく弱気な陽介。

どうしたんだろう……。


「どうかした?」


私が聞くと、彼は真剣な顔をして言った。


「プレッシャーすげぇの。みんな関東大会くらい勝ち上がれると思ってる」

「そっか……」


陽介なんかは特にそうだ。


先輩のいた頃からスタメンとして出て戦っている分

自分たちの代になった時の注目は生半可なものではない。


みんなの代表としてコートに立ってるんだもんなあ。


私に出来ること、なにかないかな。


そうだ!



「陽介!今からアイス食べに行こう」


私がとっさに立ち上がると、彼は笑いだした。


「ふっ、なんだよそれ」


「今日は私がおごってあげる!」


これくらいしか出来ないけど、陽介の肩の力が少しでも抜けるといい。

私の前ではリラックス出来る場所になればいい。


「沙奈のそういうところいいよな……なんか、力抜けたわ」


ふわっと笑う陽介にほっとする私。

力をいれっぱなしじゃ疲れちゃうから。


もっともっと、笑ってくれたらいいなって思った。


「じゃあ、行こう」


そうやって声をかけると、陽介は言った。


「そうだ、沙奈。ちょっと待って」





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