リトライ。
立ち上がり、歩き出そうとする私に陽介はカバンを漁る。
すると、紙袋に入っている何かを取り出した。
「これ、やる」
「何?」
「あけてみ?」
私が紙袋をあけてみると、そこに入っていたのはリストバンドだった。
「これ……」
「そう、俺と同じの。良かったらつけてくんねぇ?」
陽介がいつも試合でつけているものと同じ、黒色のリストバンド。
これを私に……?
嬉しい……。
「つける!絶対つける!」
私がそういうと、また陽介は笑った。
「そんなに喜んでくれるとは思わなかった」
「喜ぶよ」
だって、すごく嬉しい……。
「ふたりでさ、楽しもうな。試合」
「そうだね」
試合に勝つことももちろんだけど、バスケを楽しむこと。
私たちにはそれが一番だ。
陽介と一緒なら、きっと最後まで頑張れる。
約束をした。
最後に答えを出すと。
その答えを自信持っていえるように。
私は彼がくれたリストバンドを握りしめた。