リトライ。



なにかおかしい。

陽介はいつも通りのプレーが出来ていなかった。


「陽介くん、今日ミス多いね」

「大丈夫かなあ」


どうしたんだろう。

表情も険しく、楽しそうにプレーする陽介の姿はない。


点差は離れていくばかりだった。


「向こうの4番また3P決めたぞ」


第2ピリオドの終盤。


【43-28】


気づけばダブルスコア―差をつけられている。


どうして……。

こんな陽介見たことが無かった。


いつも私の前にいて、引っ張ってくれていた陽介。


私が落ち込むたびに前を向けって声をかけてくれた。

だけど今いるのは、相手が点を決めるたび、うつむいて苦しそうにプレーする彼の姿だ。


「陽介!頑張って……お願い」


ぎゅうっと手を握り締めながらつぶやいた言葉は届くことは無かった。


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