リトライ。




私なんかとは全然比べ物にならないくらい上手なのに、人をバカにすることは絶対しない陽介。

ずっとバスケが大好きなんだって言ってたね。


そんな陽介のプレーを見せてよ。


ピ―――!!


少し長めの笛が鳴り、第4ピリオドは始まった。


監督に指名された陽介は立ち上がってコートに向かう。

陽介が出る……。


うつむいていて、顔は見えない。

ぎゅっと手を強く握る。


「陽介……っ」


小さくつぶやいた時。

陽介は顔をあげた。


「あっ、陽介くん……!」


そう、彼の顔に笑顔はあった。


陽介……。

戻って来てくれたんだね。


リストバンドがついた右手で拳をつくる。

そのまま、手を胸に持っていくと陽介は目をつぶった。


集中しているんだろう。


「白ボール」



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