リトライ。


色々あった。

それでも私たちは前を向き、ここまで来たんだ。


結果はもう、分かりきっているのかもしれない。

でも誰ひとりとして、応援席を立つものはいない。

みんな自分のチームが勝つようにって、最後まで応援し続けた。


「陽介、頑張れー!」


それから陽介の快進撃はいつまでも続けれられた。


ボールが床にバウンドする音。

バッシュと床がこすれて鳴る音。

選手たちの呼吸。
会場中から湧き上がる歓声。


青春が全部つまったこの試合は残り時間15秒をしめしている。


残り時間を見た陽介は覚悟を決めた。

3Pラインからのシュート。


ーーシュ。


彼の一番得意な場所から放ったシュートはきれいな弧を描き、

一番きれいな形でゴールへと吸い込まれていった。


ああ、陽介のシュートだ。


ボールが床にバウンドする。

するとブザーが鳴った。




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