リトライ。
私に出来ることはなんだろう。
試合後、家までの道をひとり歩いて考える。
すると、その時。
ーーダム、ダム。
近くの公園からバスケットボールをつく音が響いた。
私はその場所で立ち止まる。
「ナイッシュー」
「ナイスパス」
公園で遊んでいる男の子たちが楽しそうに笑っていた。
陽介に、前みたいに笑ってほしい。
陽介の笑顔を取り戻すには……。
見せることしか出来ないだろう。
陽介が教えてくれた楽しさを、今までやって来たことを。
決して無駄じゃなかったんだということを
証明することが彼を救いだすきっかけになるんじゃないか。
辺りは赤く染まっている。
茜色の空、大きく息を吸い込んでつぶやく。
「ねぇ陽介、戻って来てよ……」
彼が側にいてくれないと、寂しくて
ひとりでバスケをしていても笑えそうにない。