リトライ。




ピ――!と大きな笛が鳴った。


「集合」

「はい」



これから始まる。

私たちの最後の試合が。


ドクン。と胸を打つ。


もう、最後だ。


思い返せばあっという間だった。


バスケが嫌になって、見ないようにしていたら陽介に話しかけられて。


もう一度やろうと声をかけられ、私は1歩踏み出した。


あの時、陽介が声をかけてくれていなかったら

私はここには立っていない。


この景色を見せてくれた陽介に。


返したい気持ちがある。


「桜高、ファイッオー!」


この試合が終わった時、もし自分がまた下を向いていたら……。


そう不安になることもある。


でも、そうじゃない。


自分たちのチームに代変りして、

陽介とケンカをしたあの日から変りたいと、強くなりたいと口にした。


自分で目標を立てて何ごとにも強く向き合った。


< 221 / 266 >

この作品をシェア

pagetop