リトライ。
ピ――!と大きな笛が鳴った。
「集合」
「はい」
これから始まる。
私たちの最後の試合が。
ドクン。と胸を打つ。
もう、最後だ。
思い返せばあっという間だった。
バスケが嫌になって、見ないようにしていたら陽介に話しかけられて。
もう一度やろうと声をかけられ、私は1歩踏み出した。
あの時、陽介が声をかけてくれていなかったら
私はここには立っていない。
この景色を見せてくれた陽介に。
返したい気持ちがある。
「桜高、ファイッオー!」
この試合が終わった時、もし自分がまた下を向いていたら……。
そう不安になることもある。
でも、そうじゃない。
自分たちのチームに代変りして、
陽介とケンカをしたあの日から変りたいと、強くなりたいと口にした。
自分で目標を立てて何ごとにも強く向き合った。