リトライ。



陽介も私の練習にたくさん付き合ってくれたよね。


時に厳しい言葉をかけられたり、

ハードな練習になったりしたけど、もう逃げなかった。


自分は自分に胸を張れるくらい練習をした。

思い悩むことは何も無い。


「沙奈、出るぞ」

「はい……!」


この日。

私は初めてスタートメンバーとしてコーチに名前を呼ばれた。



この気持ちをすべてぶつける。

そのためにここまでやって来た。


5人そろって整列をする。


「試合赤、白。礼」

「よろしくお願いします」


私は目の前の相手をしっかり見つめ、頭を下げた。


向き合って、もう一度。



「ジャンプボール」


好きだという気持ちを再確認するんだ。


ボールが上へと打ち上げられる。


パンっと弾かれたボールは私たちのチームの手の中に入った。



< 222 / 266 >

この作品をシェア

pagetop