リトライ。



私はボールを受けた瞬間、すぐ目の前から切り込んでいった。


隙がないから攻められない。


そうじゃない。

自分から攻めて隙を作らせるんだ。


そうやって陽介が教えてくれた。



抜く姿勢を作って中に切りこむと、肩が入りぎてしまい、相手と接触する。

その瞬間、大きな笛が鳴った。


ピーー!


「オフェンスファール、白9番」


ーードクン。


私のファールだ。

不安が私を包み込む。


だけどすぐに思い返す。


“オフェンスファールなんて滅多に出ないぜ”

“逃げ腰のヤツがもらえるものじゃない”



そうだ。

陽介はそう言っていた。


私は今、逃げ腰じゃない。

攻めようとしたからこうなったんだ。


今まで一度もなかったオフェンスファール。

勝負する姿勢があったからこそ、こうなった。


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