リトライ。
「お前なら絶対に出来る」
彼は力強いエールを私に送った。
「もう、遅いよ……っ」
どれだけ待ったと思ってるの?
自分がいったくせに。
好きなものを、好きだと言えない状況が一番辛いって。
逃げていないで、前を向いた方がいいって
自分が言ったくせに。
遅すぎだよ。
「陽介のバカ」
肩の力が抜け、軽くなる。
私は右手につけたリストバンドにそっと口づけを落とし、ゴールへと向き直った。
長かった。
好きだといえるまで。
やっていて良かったといえるまでに時間がかかってしまった。
それでももう、迷わない。
陽介、見ていてね。
私の出した答えを。
『周りは見るな、ゴールだけを見て入れって思いながら手から放つんだ』
彼の言葉を思い出す。
『雑念はいらねぇよ。信じて打つだけだ』