リトライ。
前を見て進む
試合が終わり、みんなが控室に戻っている時。
私はある人から肩を叩かれた。
「沙奈」
振り返るとそこにいたのは、新藤光ちゃんだった。
「光、ちゃん……?」
久しぶりに見た彼女の姿に驚きで言葉が続かない。
中学の時よりも髪が伸びて、とても大人っぽくなっていた。
「試合見てたよ、優勝おめでとう」
「来てくれたの?」
彼女は笑顔を浮かべていた。
「沙奈のお母さんから聞いたの、決勝まで勝ち進んだって」
お母さん……。
光ちゃんに伝えてくれたんだ。
中学の頃、
光ちゃんが部活をやめてから、私は何度も光ちゃんに連絡をした。
良かったら試合を見に来てほしいとか、放課後、ゴールのある公園で遊ばないかとか。
取り戻したかった。
戻ってきてほしいかった。
前みたいに、バスケをして笑顔を見せる彼女に。