リトライ。



「沙奈の試合見てたら、私もやりたくなっちゃったよ

こんな気持ちになったの久しぶりだなぁ」


光ちゃんの目にはバスケのゴールが映っていた。


もう一度、

そうやって、また向き合うのは簡単なことじゃない。


でも……。

向き合うことで、自分の気持ちは一歩前に進めるんだ。


それから光ちゃんと分かれた私は、陽介のことを探しに向かった。


どこにいるんだろう。


早く、会いたい。


試合を見に来てくれた陽介に今、一番


伝えたいことがある。


広い会場を必死に探していると、気づけばひとけのないところまで来てしまった。


ここはどこだろう。

陽介、もう帰っちゃったのかな。


そう思った瞬間。


「何してんだよ、こんなところで」


誰かが言った。

振り返ってみると、そこにいたのは陽介だった。




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