リトライ。
「陽、介」
私にゆっくりと近づいてきて、ぴたりと止まる。
すると彼は言った。
「優勝おめでとう」
彼の顔には笑顔があった。
「陽介……っ」
「頑張ったな、沙奈」
優しく微笑んで、ポンポン私の頭を撫でてくれる。
「オフェンスファールも3Pも、
苦手なもの全部克服して俺に見せてくれたな……本当、強いと思ったよ」
「だって、陽介がずっと一緒に練習してくれたから」
途中で逃げ出そうとしたこともある。
私にはどうせ無理だって、諦めようとしたこともある。
そのせいで陽介とケンカもしたね。
それでも彼はいつも私に強い言葉をかけてくれた。
逃げるな。
ぶつかっていけ。
その言葉があったからこそ、今私は強くなれた。
「私ね、試合に出たいのに、出るといつも不安になってたの。
ミスしたらどうしよう、代えられたらって」