リトライ。
そんな私を陽介が救ってくれた。
今の私は、きちんと前を向いている。
もう一度。
陽介のその言葉で、初めて弱い自分に打ち勝つことが出来た。
彼の言葉が無かったら、きっと今の私はここにいないだろう。
全力をかけた自分を捨てて、くさっていたかもしれない。
「ありがとう、陽介」
こうして前を向けたのも、
もう一度この景色を見ることが出来たのも。
全部。
「陽介のお陰……」
バスケにもう一度向き合えてよかった。
バスケが好きだと心から思うことが出来て良かった。
「本当に……っ、ありがとう」
私がそこまで言った時、
陽介は私のことをぎゅっと抱きしめた。
「陽介……?」
「そんなことねぇよ」
陽介は小さな声で言う。