リトライ。



「俺のお陰なんかじゃない。沙奈は自分のこと、ずっと弱いと思ってきたかもしれないけど、お前はずっと強かったよ」

「えっ」


「まっすぐな瞳で強くなろうとしたところ。

試合中、一度も心を折らなかったところ、弱点を改善して、強みに変えた。


本当にスゲェって思ったよ」


ばっ、と顔をあげると真剣な瞳でそんなことを言う陽介の姿があった。


「いっつも俺はそんなお前に救われてるんだ」



そんなこと、初めて言われた。

いっつも支えてもらうばっかりで彼の横には到底立てないと思った。



ねぇ、陽介。

私は今、陽介の隣に並べてるのかな。



「沙奈に出会えて良かった。

最高の試合、見せてくれてありがとう」


彼の目には涙があった。

最高の褒め言葉を彼からもらうことが出来た。






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