リトライ。
一生懸命頑張ったところで、必ず勝てるわけではない。
最後が最高の形で終われるとも限らない。
それでも私たちは今までの全てをかけて戦ったんだ。
自分の大好きのために。
私をゆっくり放すと、
彼は涙を誤魔化すように頭の上で手を組みながら言った。
「あーーーバスケやりたくなっちまった。
あんなすごいプレー見せられたら家でじっとしてる方が勿体ないよな」
陽介……。
私の目にじわり、と涙が浮かぶ。
陽介が戻って来てくれた。
楽しそうな笑顔。
何度も私を救ってくれた明るさがそこにはあった。