リトライ。
どうせ、
きっと
上手くいかない。
ううん。
そんなの、やってみなくちゃ分からない。
教室を出た私が帰るために廊下を歩いていると、陽介が声をかけて来た。
「沙奈、ちょっと体育館行かねぇか?」
「うん」
最後の体育館。
見ていくのも悪くないだろう。
私たちは体育館に向かった。
「ここでずっと練習してたんだな~」
人は誰もいない、静かな空間。
こうしてみると、やっぱり広く感じた。
「今日は体育館使用禁止だし、誰が来ることもないから遠慮なく使えるな」
「陽介はいっつも使用禁止の時使ってたよね」
「常連だったからな」
「もう……」
陽介が用具室からボールを取り出した。
普段、ボールを持つと
すぐにシュートを打ち出す陽介がじっと遠くを見つめている。