リトライ。
まるでその、音に吸い込まれるように私は体育館に来ていた。
あれ、なんで私……こんな所にいるんだろう。
見たくないほど嫌いなのに、
もう忘れたいのに、
ーーダム、ダム、
身体はその音に誘われるように動いている。
入り口から顔を出し、こっそり中を覗くと、そこにはシュートを打っている男の子がいた。
「うわあ……」
ボールをしなやかに弾く腕。
指の先までぴん、と伸びたキレイなフォーム。
自分がやっていた頃を思い出す。
正しいフォームでシュートを打つにはたくさん練習しないと出来ないと言うことをやってる人ならみんな知っている。
だから彼はそう、とてもたくさん練習した人だ。
ぼーっとその人に見惚れていると、もう一度弾いて入り損ねたボールがコロコロとこっちにやって来た。
「あ、ヤベェ」