リトライ。
私の出したパスが彼の手の中に収まるのを見て、胸が高鳴った。
ああ、つくづく忘れられない。
「経験者?」
「えっ」
ふと、言われた言葉に驚き、まっすぐに彼のことを見てみればぱちり、と目が合った。
ーードキン。
ふわり、と揺れるブラウンのクセっ毛にぱっちりと開かれた瞳。
背が高く、ほどよく筋肉がつけられた身体はバスケ向きの体格をしている。
カッコイイ……。
とっさにそう思った。
あれ、でもなんで経験者だって分かったんだろう。
すると彼は私の考えていることが分かったのか、口角を上げながら言った。
「パスの仕方。普通ならこんなにキレイなフォーム出来ないだろ?
パスの力も程よくあった。……正解?」