リトライ。


私の出したパスが彼の手の中に収まるのを見て、胸が高鳴った。


ああ、つくづく忘れられない。


「経験者?」

「えっ」


ふと、言われた言葉に驚き、まっすぐに彼のことを見てみればぱちり、と目が合った。


ーードキン。


ふわり、と揺れるブラウンのクセっ毛にぱっちりと開かれた瞳。

背が高く、ほどよく筋肉がつけられた身体はバスケ向きの体格をしている。


カッコイイ……。

とっさにそう思った。


あれ、でもなんで経験者だって分かったんだろう。


すると彼は私の考えていることが分かったのか、口角を上げながら言った。


「パスの仕方。普通ならこんなにキレイなフォーム出来ないだろ?

パスの力も程よくあった。……正解?」



< 33 / 266 >

この作品をシェア

pagetop