リトライ。
気持ちがいい。
私の出したパスを必ずゴールに届けてくれる。
本当にすごい。
彼がもう一度こっちに向き直った時は口角をあげて笑っていた。
「俺のこと試したな」
「そんなつもりじゃ……」
「よく言うよ、あの位置じゃバックシュートしか選択肢がない」
私はぐっ、と口をつぐんだ。
「そういうの、好きだぜ」
「えっ」
「ほら、今度はお前の番」
「え、あ、ちょ……っ、私はいいって……」
「そーれ」
準備もなしにイキナリそんなことを言って緩やかなパスを出す。
私は反射的に投げられたボールを追いかけると、キャッチしてそのままシュートを決めた。
久しぶりだったのに、身体はなんの戸惑いもなく動き、ボールをゴールまで届けた。
まだ、出来るものなんだ……。
ネットから落ちて来るボールをそのまま取り、呆然と立ち尽くしていると。
「ナイシュー!」
後ろから大きな声が聞こえる。
振り返れば、彼は笑っていた。