リトライ。



体育館の床を視界に映しつつ、私ははっきりとそう言った。


そうすれば、諦めて放してくれると思ったから。

でも彼から帰ってきた言葉は想像とは違うものだった。


「ウソつき。」


じっ、と私を見つめる瞳はやっぱりまっすぐで、さっきと決定的に違うのは、彼はもう笑っていないことだ。


「な……っ、ウソなんてついてない!」


彼の手を強く振り払って言う。


「どこが嫌いなの?」

「どこがって……全部だよ」


「ごめん、そうじゃなくってさ……

バスケのどこが嫌いなのって聞いたんじゃなくて、キミのどこがバスケを嫌いなのって聞いたんだ」


掠れた声した出なかった。

言い返したいのに、何も言えなくなって固まってしまう。


「あんなに楽しそうな顔してボール持ってたのに、嫌いなわけないじゃん」


彼の言葉に顔の温度がかあ、っと上がる。


知らないクセに。
私の気持ちなんて分からないクセに。


「勝手なこと言わないで!」





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