リトライ。


でも、それはもう過去のことだ。


「へへ……っ、嬉しいな。

今は私……全然だけど」


泉ちゃんのまっすぐな瞳から目を逸らすことしか出来なかった。


確かに自分を褒められたはずなのに、今の私はこんな状態で、まるで別人の人の話を聞いているよう。


「だからさ、沙奈も頑張って」


ぽん、と肩を叩く泉ちゃんに形だけこくりと頷いた。


何を頑張ればいいんだろう。


バイト探し?
それとも頑張ることを見つけること?


空っぽの自分が今から何かを探すことなんて出来るんだろうか。


「授業始めるぞ〜教科書14ページを開いて」


私はぼーっとそんな事を考えながら、机から取り出した教科書を開いた。


ーー
ーーー。



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