リトライ。



来週行われる試合は先輩たちの引退試合にあたる試合だ。


負けたらそこで引退になる。


ドクン、ドクン。

コーチがユニホームを与える人の名前を呼んでいく。


そんな中、私はぎゅっと手を握り締めた。


『松井、上原……斉藤』



お願い……私の名前、呼ばれて……。


願うように息をひそめて待っていたけれど、期待して待っていた私の名前は呼ばれなかった。



『ラストは新藤。以上だ。

名前を呼ばれたかった者は申し訳ないが当日は応援席で応援してくれ』


応援席……。


その言葉が私に重くのし掛かった。


ユニホームをもらえなかった人たちは、ベンチで応援することすら出来ない。

同じチームなのに、お客さんと同じ場所で試合を見ることになる。


そっ、か……。


呆然と立ち尽くす。
そんな中、キャプテンは言った。



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