リトライ。
『沙奈、どうしたの?ご飯は食べないの?』
母親が心配して私の部屋の前で話しかける。
『…………』
それでも何も言えなくて、私はぽたり、と落ちる涙を拭わずに歯を食いしばった。
すると。
私の部屋のドア越しにお母さんは独り言を話すかのようにしゃべり始めた。
『沙奈が感じてる、今の悔しいって感情って
今後の沙奈のことを強くするんじゃないかな』
お母さんは気づいたんだろう。
私が泣いている理由を。
『どうせもらえないって、仕方ないって思っている人よりも、
沙奈はきっと強くなる。
そう考えたら、これからの自分の成長が楽しみになってこない?』
ぽろぽろと零れていた涙は頬を伝ってゆっくり落ちていく。
好きだから頑張っている。
頑張っているからこそ、選ばれなかったことが悔しかった。
だから、次。
また同じ涙を流さないように頑張ろうって思えるんだ。