リトライ。



そうだ。

頑張ってなかったら、全然悔しくないから。


きっと、ここを乗り越えることが私の試練なんだ。


だったらもっとやるしかない。

今は悔しくてもそれをバネにして頑張るしかない。


そうだよね?


私は涙を拭ってから、部屋のドアを開けた。

それを見て笑顔になるお母さん。


『光ちゃんのこと、無視して帰ってきちゃったの……』


私がそういうと、お母さんは言った。


『明日ちゃんと謝ろう』

『うん……』



もう一度、頑張るんだ。

悔しさをバネにして。


『夕飯食べよう』


私はその言葉に力強く頷いた。


強くなるために、諦めない。

その日、そう誓った。



次の日ーー。


『光ちゃん、ごめんなさい』


私は彼女の家に行って、一番に謝った。

自分のイライラを光ちゃんにあててしまった。


深く頭を下げると、彼女は言った。


『沙奈、顔あげて。今日はさ……応援頑張ろう!』

『うん』


光ちゃんは笑顔で許してくれた。


それからふたりで先輩たちの試合の応援に向かった。











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