リトライ。





その後。


ユニホームを返しに向かった時、後輩が「バスケしていきませんか?」という言葉も断った。




最後に振り返ってみた体育館のコートは初めの時のように輝いてはいなかった。


もう見たくない場所。
思い出したくない思い出。



「大嫌いだ……バスケなんて」


そう言って、捨て去って
見ないふりをする。


それが楽だから。


大切にしていたボールはゴミ箱に捨てて、バスケシューズも見えないところに隠してしまった。


もうしない。
もう2度としないんだ。



握りしめた拳に涙はぽたり、ぽたり、と落ちていったーー。












< 74 / 266 >

この作品をシェア

pagetop