リトライ。
その後。
ユニホームを返しに向かった時、後輩が「バスケしていきませんか?」という言葉も断った。
最後に振り返ってみた体育館のコートは初めの時のように輝いてはいなかった。
もう見たくない場所。
思い出したくない思い出。
「大嫌いだ……バスケなんて」
そう言って、捨て去って
見ないふりをする。
それが楽だから。
大切にしていたボールはゴミ箱に捨てて、バスケシューズも見えないところに隠してしまった。
もうしない。
もう2度としないんだ。
握りしめた拳に涙はぽたり、ぽたり、と落ちていったーー。