リトライ。
苦しそうに見えたから
【古谷陽介side】
「あー、また怒らせちまったな……」
手を振り払って去っていってしまった彼女の後ろ姿を見つめる。
うまくいかねぇな。
頭をかきながらつぶやくと。
「陽介、練習すんぞー」
先輩の呼びかけがあった。
高校に入学し、まだ1ヶ月ちょっと。
スポーツ推薦で入ってきた俺は、高校に上がる前からここで練習していたから
もう練習には慣れていた。
走って、ボール追いかけて、シュートして。
自分の全てをそこに捧げる感じ、俺は好きだ。
だけど……その反面、過酷なスポーツであることも分かっていた。
たった5人しかコートにはいれない。
この狭い枠の中、勝ち取らなくてはいけない。
みんながみんな本気の中で、自分が周りより秀でていなくちゃ、勝ち上がられない。
それは本当に辛くて、難しいことだった。