リトライ。


それから彼女は体育館履きと体育着を取りに教室に戻ってから体育館にやって来た。


静かな空間。
彼女は何も話さない。


「先に1点取った方の勝ちだ」

「分かった」


吸い込まれるような真剣な瞳。
懐かしいな、と思った。


俺は沙奈に持っていたボールをパスをすると、笑顔で言った。


「先どうぞ?」

「一瞬で終わらせてやる」


にやり、と笑う彼女の目には確かに光があった。


「それはどうかな?」


ゆっくりとドリブルを始める沙奈。

彼女が鋭い目つきになった時、右側から俺を抜こうと身体を傾けた。


ーー来る。


とっさに俺が反応し、攻撃を防せごうとしたが……それはフェイクで彼女は左側から俺を抜き去った。


「……っ、」


「現役じゃないの?」


挑発するような笑み、すごく楽しそうだった。

だけど勝負だ。





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