リトライ。



大好きなはずなのに、現実を受け止めたくないから嫌いって自分に言い聞かせて

本当の気持ちを閉じ込める。


そんなの苦しいに決まってる。

辛いに決まってんじゃねぇか。


「辛いことがあっても、苦しいことがあっても、

好きなものを嫌いになることより苦しいことはねぇ」


そうやって思わせてくれたのは、俺が無意識に向かった先の公園だった。


唯一バスケットゴールがあるこの公園で練習が終わった後もひとり練習をした。


辛くても、身体が疲れていても

楽しくてここでバスケをしている瞬間は幸せだった。


どうしたって身体はここに向かってしまうんだ。


どんなに強がって見ないフリしてたって、

嫌いだって言って、気を張っていたって、敵わない。


好きだという気持ちには。



気づけば目から涙がぼろぼろ零れていて、

俺はひとり泣きじゃくりながら誓った。


”もう逃げないと”









< 85 / 266 >

この作品をシェア

pagetop