リトライ。
「1週間前、陽介と一緒に1on1をした後
色んなことが浮かんできたの。
楽しかった思い出も苦しかった思い出も、自分が頑張ってたことも、悔しかったことも。
家に帰ってからもずっとそれが消えなくて、
ぼーっとバスケをしていた時のことを考えてた」
「うん」
「好きだった。本当に、バスケが大好きだったからものすごく悔しかった。
でも……私は一度、バスケに限界を感じてる
自分の力じゃ頑張っても無理だと思ったことがあるから陽介とは一緒じゃない」
「そうか……」
それが沙奈の答えなのかと思った。
やっぱり俺では心を動かすことは出来なかった。
すると、沙奈はひとつの紙を俺の前に差し出した。
ゆっくりとそれを受け取れば、
そこには名前か書かれた【入部希望届け】があった。
「えっ……」
「だけど、忘れられない。その気持ちは同じだから……」