first love~世界で一番素敵な初恋~
私と西園寺は去年の優勝者ということでシード権があり出場するのは二回戦からなので、試合までは少し時間があった。
西園寺はアップせずにゆっくりしてるけど、私は試合に控えて体を動かしていた。
「唯那、久しぶりだな。」
そこに現れたのは今となっては懐かしい、玉城部長だった。
玉城部長のすぐ後ろには、白樺学園高等部テニス部レギュラーも立っていた。
「…………お久しぶりです。」
私はアップを止めると皆の方に向かって一礼をした。
皆と会うのは本当に久しぶりだった。
私はいきなり西園寺家に連れて来られたので、皆には何も言えず、ずっとそのままになってしまっていた。
しかも、私は鵬龍学園高等部テニス部として全国大会に出場している。
皆にとっては私は裏切り者だと思われても仕方がない。
だから、何て言えばいいのかが分からず私は下を向いて黙っているしかできなかった。