first love~世界で一番素敵な初恋~
「辞退なんかするわけねぇだろ。」
と、西園寺が司会者の言葉を遮る。すると、観客席はざわついていた。そんな中、西園寺は司会者からマイクを奪う。
「唯那は俺の婚約者だ。婚約者とのデートを嫌がるわけねぇだろうが。」
その言葉に会場全体が固まる。それは私も同じだった。
何でこんな大勢の前で婚約者宣言なんかしちゃったのー?
西園寺はマイクを司会者に返すと、私の顔をじっと見る。
「唯那、お前がどんなに嫌がろうが全校生徒の前で宣言したんだ。もう、逃げられねぇな」
何故か片方の口角を上げてニヤリとする西園寺。ひょっとして、それが目的だったの?
「まぁ、今まで散々待ったんだ。
唯那が俺を好きになるまでゆっくり待ってやるから。」
私は何も言わず、ただじっと黙っているだけだった。