first love~世界で一番素敵な初恋~



『それでは最後になります、2ーAで劇、”白雪姫”です』


司会の人の声が聞こえると閉ざされていた幕がゆっくり開く


私は最初は舞台袖からのスタートで、そこから観客席の様子をじっと見る。
見えたのは体育館を埋め尽くしている大勢のお客さん……………


私の出番はそれからすぐで、よしっと気合いを入れると舞台に出て練習した踊りを見せる。


すると、観客席からは拍手の音が聞こえて来て、踊りながら歌い始める。


ダンス経験はなく、一から練習したけど最後まで上手く踊れるか自信がなかった。


でも、舞台に立つと緊張してたことも忘れて自然と身体が踊り出した。


劇が進んでいくと、私の中である違和感が生まれた。
途中から、私の頭には夢で出て来た光景が現実と重なっていてそれが私にとって大切なものだったような気がして仕方ない。


感覚だけど、私は何か大切なことを忘れてるのかもしれない。


でも、どれだけ思い出そうと思っても思い出せるわけがなく集中力が切れてしまいそうで怖い。


だから、私は舞台に集中するように夢のことは考えないようにした。


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