first love~世界で一番素敵な初恋~
幼稚園の頃、学芸会………………
あの頃の唯那も、さっきみたいに俺の隣で緊張していて身体が震えていた。
「唯那ちゃん、大丈夫?」
俺は、唯那を落ち着かせるように声を掛けたが唯那の緊張は取れなかった。
「ねぇ、龍くん。もし失敗しちゃったらどうしよう。
セリフを忘れちゃったらどうしよう。」
この時の唯那も同じような心配をしていた。
「僕がついてるから大丈夫だよ。
僕がずっとここで見守っててあげるから。」
そう言うと、唯那の顔はパアッと明るくなる。
「ほんとう?ちゃんと見守っててくれる?」
「うん、それに出番我来たら僕が唯那ちゃんを迎えに行くから。
だから舞台で僕のことを待っててね。」
唯那は幼稚園のことなんて覚えていない。
だから、思い出すきっかけになるように俺はあの時のセリフを唯那に伝えた。
俺がずっと唯那のことを想い続けていることに気づいてほしい。
その意味を込めて唯那に言葉を送った。