first love~世界で一番素敵な初恋~
試合は接戦で、お互い譲らずタイブレークまで持ち込み、それでもアドバンテージになり、取られたら取り返すの繰り返しだった。
「嘘だろ?いつも相手に1セットも与えない龍我が追いつめられてる?」
「なぁ、龍我って今日そんなに調子悪かったっけ?」
「いや、龍我の調子が悪いわけじゃない。
相手の子が想像以上に強いんだ。」
「でも、初めてだよな。こんなにも龍我に食らいついて来た奴。
しかも、相手はまだ余裕が残ってる感じがするし。」
「本人にとっては勝ち負けはどうでもいいと思うよ。
何せ初めて本気で闘える相手が現れたんだからな。
今の龍我は楽しくて仕方ないんだろうな。」
「それにしてもあの子強すぎ。
確か、去年の全国大会でうちの女子テニス部長にストレートで勝ったんだろ?」
「あぁ。
それでも龍我には及ばないと思ってたんだが、まさかこれほどの実力の持ち主とは思わなかった。」