first love~世界で一番素敵な初恋~
俺はそれからも色んな人に聞いて回り、とうとう唯那が居る場所を突き止めた。
すると、すぐ近くから誰かの泣き声がする。
「………………唯那か?」
俺は周りの様子を伺うように耳を澄ませながらゆっくりと声のする方に向かって歩く。
声がする方向は建物の影になっていて人通りの少ない場所だった。
しばらく歩くと、そこには泣きながら座り込んでいる唯那が居た。
「唯那!!」
俺は唯那の元へ走り、身体を抱きかかえた。
すると、そこに見えたのは血でよく見ると足がが血だらけだった。
近くにはガラスの破片が落ちていて、それが原因で怪我したと思われた。
劇ではずっと裸足だったからそのまま出て来たんだろう。
俺はすぐに携帯を取り出すと電話を掛ける。
「神谷か?
悪いが今すぐ俺のGPSを調べて車で来てくれ。
それと家に医者を呼んどいてくれ。あぁ。急ぎで頼む。」
俺は神谷に用件だけ伝えると電話を切って
すぐに胸ポケットのスカーフを取り出し
それを怪我をしている方の足に巻きつける
「とりあえず応急処置はこれでいいか…………」
唯那は涙を流しながらも何かを話そうと一生懸命だが、過呼吸のせいか喋れていない。