first love~世界で一番素敵な初恋~
相手がスマッシュの大勢に入ると、襟元からネックレスが出て来た。
俺は彼女のスマッシュよりもそのネックレスに通った指輪に目が行っていた。
「あれは…………」
彼女の首もとで光る指輪は俺がずっと探していた指輪………それを見間違えるはずがない。
何故ならそれのネックレスには俺が幼い頃に唯那に渡した指輪が通っていたから。
あの模様はこの世でただ一つしかない。
俺が昔、お袋からもらったあの指輪で間違いがなかった。
指輪に目を取られていた俺はスマッシュに反応することが出来ず、ボールはそのまま左を通り抜けていく。
ちっ……………
気付いた時にはコート上にボールはなく、俺は人生で初めてテニスで負けた。
それと同時に、相手を応援していた奴らの歓声が一気に上がった。